

相続した不動産をどうする?
いざ自分が当事者になった場合、「結局、何から考えればいいの?」と迷うことはありませんか?
このページでは、そのような問題に直面したときに知っておきたい情報を、単なる制度や知識の解説ではなく、「考えること → 選ぶこと → 比べること → 次にやること」の順番で整理します。
最初からすべてを調べる必要はありません。まずは、自分が今どこを確認すべきなのか「現在地」を見つけてください。
この記事で分かること
- 最初に考えるべきこと
- 見落としやすいポイント
- 考えられる主な選択肢
- 選択肢を比較するときの判断基準
- お金・仕事・住まい・支援の4つの視点
- 典型的なケースごとの考え方
- 確認しておきたい制度・手続き
- 最初にやること
- 具体的なHOW TO
- 専門家・相談先を利用したほうがよいケース
「相続した不動産をどうする?」まずどう考える?
「相続した不動産をどうする?」といった問題に直面した場合、いきなり「売るべきか、残すべきか」という結論を出す必要はありません。
先に確認したいのは、「この不動産について、何を知っておく必要があるのか」ということです。
実家を相続した場合、所有権だけでなく、維持費、管理、税金、家族間の意見、将来の利用方法など、複数の問題が重なりやすくなります。
そこで、このページでは次の順番で整理します。
- 状況
- 考えること
- 選択肢
- 判断材料
- 次に読む
- HOW TO
まず考えること10項目
「相続した不動産をどうする?」といった問題に直面したとき、最初に確認したいポイントを10項目に整理します。
1.誰が所有するか
まず確認したいのは、「誰がその不動産を所有するのか」です。
相続人が複数いる場合、誰が取得するのかによって、その後の売却・賃貸・管理などの進め方が変わります。相続登記についても確認が必要です。
また、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の相続登記が原則として義務になっています。放置すると10万円以下の過料の対象となるため、注意が必要です。
確認したいこと:相続人、遺産分割の状況、登記名義、相続登記の状況
2.誰が使うか
次に、「その不動産を誰が使うのか」を考えます。
自分や家族が住むのか、親族が利用するのか、それとも誰も使わないのか。ここが決まると、売却・賃貸・維持・空き家化という選択肢も見えやすくなります。
確認したいこと:現在の利用者、今後住む予定の人、利用する時期
3.維持費
不動産は、所有しているだけでも費用が発生します。
固定資産税などの税金に加え、火災保険、修繕、庭木の管理、水道・電気など、使っていなくても負担が続くものがあります。
「無料で持っている家」と考えず、年間でどれくらい負担が続くのかを把握することが重要です。
確認したいこと:固定資産税、保険料、修繕費、管理費、光熱費、庭や建物の維持費
4.管理方法
誰も住んでいない不動産は、時間が経つほど管理の負担が大きくなることがあります。
換気、通水、清掃、草木の手入れ、郵便物の確認など、現地に行かなければできない作業も少なくありません。
遠方に住んでいる場合は、自分で管理するのか、家族などに依頼するのかも考える必要があります。
確認したいこと:管理する人、訪問頻度、遠方から管理できるか
5.売却
「使う予定がない」「維持する負担が大きい」という場合、売却も有力な選択肢になります。
ただし、売れば必ず利益が出るとは限りません。建物の状態、土地の立地、解体費用、仲介手数料、税金なども含めて考える必要があります。
一例として、相続した不動産の売却について、昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンション等、区分所有建築物を除く。)を相続した場合は一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる場合があります。
適用条件について、相続した不動産が該当するか確認しておきましょう。
確認したいこと:売却価格の目安、売却費用、建物の状態、解体の必要性、税制上の特例
6.賃貸
売却せず、賃貸住宅として活用する方法もあります。
家賃収入を得られる可能性がある一方、入居者募集、修繕、空室、管理、設備更新などの負担も発生します。
「家賃が入るから得」という単純な判断ではなく、必要な修繕費や管理費を差し引いて考えることが大切です。
確認したいこと: 賃貸需要、想定家賃、修繕費
確認したいこと:賃貸需要、想定家賃、修繕費、管理費、空室リスク、リフォーム費用
7.自分で利用
自分や家族が住む、仕事場として使う、一定期間だけ利用するなど、自分で活用する方法もあります。
相続した不動産が思い入れのある実家なら、売却や賃貸だけが答えではないでしょう。ただし、現在の生活圏から離れている場合は、引っ越し費用や通勤、リフォームなども含めて考える必要があります。
確認したいこと:利用目的、立地、建物の状態、改修費用、生活への影響
8.空き家化
「今は決められないから、そのままにしておく」という選択もあります。
ただし、何も決めずに放置することと、「一定期間だけ維持する」と決めて管理することは別です。
空き家は建物の劣化や庭木の繁茂などによって管理上の問題が生じる可能性があります。管理不全の空家や特定空家に関する制度もあるため、放置を前提にしないことが重要です。
確認したいこと:空き家になる期間、管理方法、維持費、近隣への影響、将来の処分方針
9.税金
相続した不動産では、相続税だけを見ればよいわけではありません。
固定資産税など、所有し続けることで発生する負担もあります。売却する場合には譲渡所得に関する税金も関係します。
また、相続税の申告・納税が必要な場合、その期限は原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
確認したいこと:相続税、固定資産税、売却時の譲渡所得、利用できる特例、申告期限
10.将来どうするのか
最後に考えたいのが、「この不動産を数年後にどうするのか」です。
今すぐ売る必要がないとしても、5年後、10年後も同じように維持できるとは限りません。
「とりあえず持っておく」なら、その期間と、その後の出口まで決めておくと判断しやすくなります。
確認したいこと:将来の利用予定、売却時期、賃貸の可能性、管理できる期間、最終的な処分方法
「お金」「仕事」「住まい」「支援」を4つの視点から考える
相続した不動産は、ひとつの分野だけを見て判断すると、思わぬところを見落とすことがあります。
そこで、このサイトでは「お金」「仕事」「住まい」「支援」の4つの視点から整理します。
お金から考える
相続した不動産は、資産である一方、所有し続けることで支出も発生します。
- 固定資産税などの負担
- 修繕・管理にかかる費用
- 売却した場合の税金や諸費用
仕事から考える
例えば、相続した不動産が実家だった場合、この不動産をどうするかは、現在の働き方や生活拠点とも関係します。
- 実家に戻って住んだ場合の職場までの通勤時間
- 遠方に住んでいる場合の管理負担
- 勤務先を変える決断をした場合、Uターンや地方移住との関係
住まいから考える
実家そのものをどう使うかを考える視点です。
- 売却・賃貸・自宅利用の比較
- 建物の状態やリフォーム
- 空き家として維持する場合の管理
支援から考える
自分だけで処理するのが難しい場合、公的機関や専門家の力を借りる方法があります。
- 相続や登記に関する相談
- 税金に関する相談
- 不動産の売却・賃貸に関する相談
「相続した不動産をどうする?」考えられる選択肢。
対応策は、ひとつとは限りません。ここでは代表的な選択肢を整理します。
選択肢A:売却する
使う予定のない不動産を売却し、現金化する方法です。
注意点:売却価格だけでなく、仲介手数料、測量、解体、税金などの費用も確認する
選択肢B:賃貸する
実家を賃貸住宅として活用し、家賃収入を得る方法です。
注意点:修繕費、空室リスク、管理費、リフォーム費用などを含めて収支を考える
選択肢C:自分や家族が利用する
自分や家族が住む、仕事場として使うなど、所有者側で活用する方法です。
注意点:引っ越し費用、リフォーム費用、通勤・通学など、生活全体への影響を見る
選択肢を比較するときの5つの判断基準



「どれが正解か」ではなく、何を基準に比べるかを決めると整理しやすくなります。
| 判断基準 | 確認すること |
|---|---|
| お金 | 費用・収入・貯蓄・将来の負担 |
| 時間 | いつまでに決める必要があるか |
| 安定性 | 生活への影響や継続性 |
| リスク | 失敗した場合に何が起きるか |
| 将来 | 数年後の生活にどう影響するか |
選択肢を比較する



比較するときは、「一番良い選択肢」を探すより、「自分にとって避けたいリスクは何か」を先に考えると整理しやすくなります。
| 選択肢 | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 売却 | 管理負担をなくし、現金化できる | 売却費用・税金等の諸費用、売却までの時間・手間がかかる | 今後使う予定がない |
| 賃貸 | 所有しながら収入を得られる可能性がある | 空室・修繕・管理の負担がある | 賃貸需要が見込める |
| 自分で利用 | 生活や仕事に活用できる | 引っ越し・改修などの負担がある | 自分や家族が使う予定がある |
| 維持 | すぐに売却や活用を決めなくてもよい | 維持費・管理負担が続く | 将来の利用予定がある |
モデルケースで考える
ケース1:売却を検討しているケース
状況:親から実家を相続したものの、自分は遠方に住んでおり、今後も住む予定がない。
考えること:
- 維持・管理を続ける期間
- 売却にかかる費用
- 建物を残して売るか、解体するか
- 利用できる税制上の特例
考えられる選択肢: 売却する、一定期間維持してから売却する
最初に確認したいこと:不動産の権利関係と現在の状態、売却価格の目安
ケース2:賃貸を検討しているケース
状況:相続した実家は比較的状態が良く、周辺にも住宅需要がある。売却するか賃貸するか迷っている。
考えること:
- 想定される家賃
- 必要なリフォーム費用
- 管理を誰(どの管理会社)に任せるか
- 空室になった場合の負担
考えられる選択肢: 賃貸する、リフォームしてから賃貸する、売却する
最初に確認したいこと:周辺の賃貸需要と、賃貸開始までに必要な費用
ケース3:自分で利用するケース
状況:現在の住まいから、相続した実家への移住を考えており、将来的には実家を自宅として使う可能性がある。
考えること:
- 現在の仕事を続けられるか
- 建物の修繕・リフォーム費用
- 生活環境や交通の利便性
- 将来も住み続けられるか
考えられる選択肢: 実家に住む、一定期間試してから判断する、売却する
最初に確認したいこと:建物の状態と、実際に生活する場合の費用・交通・仕事(子供の学校)への影響



ケースは特定の個人を診断・評価するものではありません。あくまで、このテーマを考えるための典型例です。
「相続した不動産をどうする?」確認したい制度・支援。
利用できる制度や支援は、条件や時期によって異なります。
| 制度・支援 | どんなものか | 確認先 |
|---|---|---|
| 相続登記 | 相続した不動産の名義変更に関する制度 | 法務局、司法書士等 |
| 相続税の申告・納税 | 相続税が発生する場合に必要となる手続き | 国税庁、税務署 |
| 被相続人の居住用財産(空き家)の譲渡所得の特別控除 | [概要] | 国税庁、各自治体等 |



制度は変更されることがあります。利用を検討するときは、必ず最新の公的情報を確認してください。
「相続した不動産をどうする?」最初にやること。
情報を一度に集めすぎると、かえって何をすればよいのか分からなくなります。
まずは次の5つから始めてください。
- 誰が不動産を取得するのかを整理する
- 登記・固定資産税などの書類を確認する
- 建物・土地の状態を確認する
- 年間の維持費と管理方法を整理する
- 売却・賃貸・利用・維持の選択肢を比較する
最初の一歩は、相続した不動産の「所有状況・状態・維持費」を確認することです。
HOW TO|具体的な方法・手続き
ここからは、実際に具体的な方法について解説します。
遺言書や遺産分割協議書などを確認し、誰が不動産を取得するのかを整理します。
登記の状況も確認し、必要な相続登記が済んでいるかを確認します。
建物の築年数、修繕履歴、設備、土地の形状、接道状況などを確認します。
遠方の実家なら、現地確認だけでなく、不動産会社などから客観的な意見を得る方法もあります。
固定資産税、保険、修繕、庭の手入れなど、所有し続けた場合の負担を整理します。
誰がどのくらいの頻度で管理するのかも決めておきます。
売却価格、賃貸収入、必要な修繕費、管理負担などを比較します。
「思い出があるから残す」「もったいないから持つ」だけで決めず、今後の生活の影響についても確認してください。
すぐに決断できない場合でも、「いつまで維持するのか」「その後どうするのか」を決めておきます。
売却、賃貸、自分で利用するなど、次の選択肢につながる準備を進めておくと、後から慌てにくくなります。
専門家・公的窓口への相談
複数の問題に同時に直面していたり、内容によっては専門家や公的窓口に相談すべきケースも発生します。
ここでは一般的な相談先、公的窓口について記載します。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 相続登記・不動産登記 | 法務局、司法書士等 |
| 相続税・譲渡所得などの税金 | 税務署、税理士 |
| 不動産の売却・賃貸 | 不動産会社等 |
| 相続に関する法律問題 | 弁護士、司法書士 |
まとめ|「相続した不動産をどうする?」まず考えること。
最初から答えを決める必要はありません。
まずは、
- 考えることを整理する
- 選択肢を知る
- 判断基準を決める
- 必要な情報を調べる
- 次にやることを決める
この順番で進めると、複雑に見える問題も少しずつ整理できます。
相続した実家や不動産は、「売る・貸す・住む・維持する」のどれを選ぶかだけでなく、費用や管理、将来の生活まで含めて考えることが大切です。
迷ったときは、まず現在の状況を整理し、自分にとって無理のない選択肢から順番に比較していきましょう。
この記事の情報について
この記事は、「相続した不動産をどうする?」というテーマついて考えるための一般的な情報を整理したものです。個別の法律・税務・金融・社会保険・不動産取引等について判断・保証するものではありません。
実際の法的手続きや個別の状況における判断にあたっては、必ずご自身の責任でご判断いただくようお願いいたします。
制度や手続き、サービスの内容は変更される場合があります。具体的な手続きや利用条件については、各公的機関・専門機関等の最新情報をご確認ください。





