

相続が発生した
いざ自分が当事者になった場合、「何から手をつければいいの?」「期限のある手続きは何?」と迷うことはありませんか?
このページでは、そのような問題に直面したときに知っておきたい情報を、単なる制度や知識の解説ではなく、「考えること → 選ぶこと → 比べること → 次にやること」の順番で整理します。
最初からすべてを調べる必要はありません。まずは、自分が今どこを確認すべきなのか「現在地」を見つけてください。
この記事で分かること
- 最初に考えるべきこと
- 見落としやすいポイント
- 考えられる主な選択肢
- 選択肢を比較するときの判断基準
- お金・仕事・住まい・支援の4つの視点
- 典型的なケースごとの考え方
- 確認しておきたい制度・手続き
- 最初にやること
- 具体的なHOW TO
- 専門家・相談先を利用したほうがよいケース
「相続が発生した。」まずどう考える?
相続が発生したとき、いきなり「誰が何をもらうか」を決める必要はありません。
先に確認したいのは、「誰が相続人なのか」「どんな財産や借金があるのか」「期限のある手続きは何か」ということです。
相続は、預貯金や不動産を受け継ぐだけの問題ではありません。借金、税金、遺言、遺産分割、相続後の財産管理まで、いくつもの問題が重なります。
そこで、このページでは次の順番で整理します。
- 状況
- 考えること
- 選択肢
- 判断材料
- 次に読む
- HOW TO
まず考えること10項目
「相続が発生した」といった問題に直面したとき、最初に確認したいポイントを10項目に整理します。
1.相続人
まず確認したいのは、「誰が相続人になるのか」です。
配偶者や子どもだけでなく、子どもが先に亡くなっている場合や、子どもがいない場合など、状況によって相続人の範囲は変わります。遺産分割や各種手続きを進める前に、相続人を正確に確認することが大切です。
確認したいこと:被相続人の出生から死亡までの戸籍などを確認し、法定相続人を整理する。
2.財産
次に、何が相続財産として残されているのかを把握します。
預貯金だけでなく、土地・建物、有価証券、車、生命保険など、見落としやすい財産もあります。財産が分からないまま遺産分割を始めると、後から新しい財産が見つかった結果、まとまっていた話が逆戻りすることもあります。
確認したいこと:預貯金、不動産、株式などの金融資産、その他の財産を一覧にする。
3.借金
相続するのはプラスの財産だけではありません。
住宅ローンやカードローン、借入金、未払いの債務などが残っていれば、それらも相続の対象になります。財産だけを見て「これなら相続したほうがよさそう」と判断するのは危険です。
確認したいこと:借入先、借入残高、保証債務、未払い金などの有無を確認する。
4.遺言
遺言書が残されているかどうかも、早い段階で確認したいポイントです。
遺言の有無によって、その後の遺産分割や手続きの進め方が変わることがあります。自宅などに保管されている場合だけでなく、法務局の自筆証書遺言書保管制度が利用されている可能性も確認します。
確認したいこと:自宅の保管場所、貸金庫等の契約の有無、法務局の遺言書保管制度の利用状況を確認する。
5.相続期限
相続には、一定の期限が設けられている手続きがあります。
特に注意したいのが相続放棄です。相続放棄の申述は、原則として「自分が相続人になったことを知った時」から3か月以内に家庭裁判所へ行う必要があります。
相続税の申告・納税は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。
確認したいこと:相続放棄、相続税申告など、期限のある手続きを最初に確認する。
6.不動産
実家や土地などの不動産がある場合は、預貯金とは別に考える必要があります。
誰が取得するのかだけでなく、「住み続けるのか」「売却するのか」「貸すのか」「管理するのか」まで考える必要があります。
また、相続登記は2024年4月1日から義務化になりました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が原則必要です。
確認したいこと:不動産の所在地・名義・評価、利用状況、取得後の管理や処分方法を確認する。
7.預貯金
預貯金は比較的分かりやすい財産に見えますが、金融機関ごとの手続きが必要になります。
通帳や残された書類等から口座の存在を把握し、残高や相続の必要書類を確認します。取得に時間のかかる書類もあるので、早めに払い戻しが必要な場合等は注意が必要です。
確認したいこと:金融機関、口座、残高、必要書類、遺産分割前の払戻しが必要かを確認する。
8.税金
相続税がかかるのか、申告が必要なのかを早めに確認します。
相続税は、単純に「財産があれば必ずかかる」というものではありません。課税価格や基礎控除などを踏まえて判断する必要があります。
確認したいこと:財産の種類と金額を整理し、相続税の申告が必要になる可能性を確認する。
9.遺産分割
相続人と財産を確認したら、「誰が何を取得するのか」を考える段階に入ります。
不動産のように簡単に分けられない財産があると、預貯金だけで調整するのか、売却するのか、共有するのかなど、複数の選択肢が出てきます。
確認したいこと:相続人全員の意向、遺言の内容、財産の種類、分割できる財産かどうかを確認する。
10.相続後の財産管理
相続手続きが終われば、それで問題がすべて終わるとは限りません。
相続した不動産の管理、固定資産税、空き家の管理、預貯金や金融資産の整理など、「相続した後」を考える必要があります。
確認したいこと:相続後に誰が何を管理するのか、維持費や処分方法をどうするのかを確認する。
「お金」「仕事」「住まい」「支援」を4つの視点から考える
相続は、ひとつの分野だけを見て判断すると、思わぬところを見落とすことがあります。
そこで、このサイトでは「お金」「仕事」「住まい」「支援」の4つの視点から整理します。
お金から考える
相続財産そのものだけでなく、税金や借金、相続後の維持費まで考えます。
- 相続財産はいくらあるのか
- 借金や未払いの債務はないか
- 相続税の申告が必要になりそうか
仕事から考える
相続手続きや親の不動産管理が、仕事や生活に与える影響も無視できません。
- 遠方の実家を誰が管理するのか
- 手続きや実家の整理等のためにどれくらい時間が必要か
- 介護や相続手続きと仕事をどう両立するか
住まいから考える
実家などの不動産がある場合、「取得するか」だけでなく、その後どう使うかまで考えます。
- 自分や家族が住むのか、もしくは売却するのか
- 貸すのか
- 空き家として管理するのか
支援から考える
相続には、法務・税務・登記など、それぞれ専門性の異なる手続きがあります。
- 家庭裁判所での手続きが必要か
- 相続税について税理士に確認する必要があるか
- 不動産登記について司法書士などに相談する必要があるか
「相続が発生した。」考えられる選択肢。
相続への対応は、ひとつとは限りません。ここでは代表的な選択肢を整理します。
選択肢A:相続する
財産と債務を確認したうえで、通常どおり相続する方法です。
注意点:プラスの財産だけでなく、被相続人の債務も確認しておく必要があります。
選択肢B:相続放棄する
相続人としての立場を放棄し、原則として被相続人の財産や債務を受け継がない方法です。
注意点:相続放棄は、原則として相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
選択肢C:限定承認を検討する
相続によって得た財産の限度で被相続人の債務を引き継ぐ方法です。
注意点:限定承認も相続放棄と同じで申述の期限(原則として相続開始を知ったときから3か月以内)があります。
また、相続人全員の合意や、状況によっては通常の相続手続きより複雑な手続きが発生します。場合によっては弁護士や税理士などの専門家に相談することが必要になります。
選択肢を比較するときの5つの判断基準



「どれが正解か」ではなく、何を基準に比べるかを決めると整理しやすくなります。
| 判断基準 | 確認すること |
|---|---|
| お金 | 費用・収入・貯蓄・将来の負担 |
| 時間 | いつまでに決める必要があるか |
| 安定性 | 生活への影響や継続性 |
| リスク | 失敗した場合に何が起きるか |
| 将来 | 数年後の生活にどう影響するか |
選択肢を比較する



比較するときは、「一番良い選択肢」を探すより、「自分にとって避けたいリスクは何か」を先に考えると整理しやすくなります。
| 選択肢 | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 相続する | 財産を引き継げる | 債務や管理負担も引き継ぐ | 財産・債務を把握できている |
| 相続放棄 | 原則として財産・債務を引き継がない | プラスの財産も受け取れない | 債務の負担が大きい |
| 限定承認 | 相続財産の範囲で債務を引き継ぐ | 相続人全員の同意、手続きが複雑なケースもある | 財産と債務の関係が不明確 |
| 遺産分割で整理 | 相続人間で財産の取得方法を決められる | 相続人間の話し合いが必要 | 複数の相続人がいる |
モデルケースで考える
ケース1:実家と預貯金を相続するケース
状況:親が亡くなり、子ども2人が相続人。実家と預貯金が残されている。
考えること:
- 誰が実家を取得するのか
- 実家を今後どう使うのか
- 預貯金をどのように分けるのか
考えられる選択肢:
一方が実家を取得する、実家を売却して分ける、共有するなど。
最初に確認したいこと:相続人、遺言、実家の名義、財産の全体像を確認する。
ケース2:借金があるかもしれないケース
状況:親が亡くなった後、預貯金や不動産が見つかった一方、借入金の存在も疑われる。
考えること:
- プラスの財産とマイナスの財産を把握する
- 相続放棄の期限を確認する
- 相続するか放棄するかを判断する
考えられる選択肢:単純承認、相続放棄、限定承認を検討する。
最初に確認したいこと:借入先や債務の有無を調べ、相続放棄等の期限を確認する。
ケース3:相続した実家を使わないケース
状況:親が亡くなり、遠方にある実家を相続することになった。自分が住む予定はない。
考えること:
- 売却するか、賃貸するか
- 空き家として管理するか
- 維持費や管理負担をどうするか
考えられる選択肢:
売却、賃貸、自己利用、管理を続けるなど。
最初に確認したいこと:不動産の名義、状態、立地、維持費、売却・賃貸の可能性を確認する。



ケースは特定の個人を診断・評価するものではありません。あくまで、このテーマを考えるための典型例です。
「相続が発生した。」確認したい制度・支援。
利用できる制度や支援は、条件や時期によって異なります。
| 制度・支援 | どんなものか | 確認先 |
|---|---|---|
| 相続放棄 | 相続人としての権利義務を放棄する手続き | 家庭裁判所 |
| 限定承認 | 相続した財産の範囲で債務を引き継ぐ制度 | 家庭裁判所 |
| 相続人申告登記 | 期限内(3年以内)に通常の相続登記をするのが難しい場合に簡易に相続登記の申請義務を履行することができるようにする制度 | 法務局 |
| 預貯金の仮払い | 遺産分割前に一定の預貯金の払戻しを受けられる制度 | 金融機関等 |
| 相続税 | 相続税が発生する場合に行う申告 | 税務署 |



制度は変更されることがあります。利用を検討するときは、必ず最新の公的情報を確認してください。
「相続が発生した。」最初にやること。
情報を一度に集めすぎると、かえって何をすればよいのか分からなくなります。
まずは次の5つから始めてください。
- 相続人を確認する
- 遺言書の有無を確認する
- 財産と借金を整理する
- 相続放棄・相続税などの期限を確認する
- 不動産がある場合は名義と今後の扱いを確認する
最初の一歩は、相続人・財産・借金・期限を整理することです。
HOW TO|具体的な方法・手続き
ここからは、実際に具体的な方法について解説します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍などを確認し、法定相続人を整理します。
自宅などに保管された遺言書だけでなく、法務局の自筆証書遺言書保管制度等が利用されていないかも確認します。
預貯金、不動産、有価証券などの財産と、借入金などの債務を一覧にします。
相続放棄や限定承認、相続税の申告など、期限がある手続きを優先して確認します。相続放棄は原則3か月以内、相続税の申告・納税は原則10か月以内です。
相続人と財産を確認したうえで遺産分割を進め、預貯金の手続きや不動産の相続登記など、必要な手続きを行います。不動産の相続登記には原則3年以内の申請義務があります。
専門家・公的窓口への相談
相続の中には、自分だけで判断するより専門家に相談したほうがよいケースもあります。
ここでは一般的な相談先、公的窓口について記載します。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 相続放棄・遺産分割などの法律問題 | 弁護士、司法書士、家庭裁判所等 |
| 相続税の申告・税額の確認 | 税理士、税務署等 |
| 不動産の相続登記 | 司法書士、法務局等 |
| 預貯金などの相続手続き | 金融機関等 |
| 各制度や公的手続きの確認 | 市区町村・法務局・税務署など |
まとめ|「相続が発生した。」まず考えること。
最初から答えを決める必要はありません。
まずは、
- 考えることを整理する
- 選択肢を知る
- 判断基準を決める
- 必要な情報を調べる
- 次にやることを決める
この順番で進めると、複雑に見える問題も少しずつ整理できます。
特に、相続放棄や相続税など、期限が決まっている手続きには注意が必要です。
相続人間での話し合いや、手続きに必要な書類の準備等、何から手を付けたらいいかわからなくなることも少なくありません。
迷ったときは、すべてを一度に解決しようとせず、「今、一番先に確認することは何か」から考えてみてください。
この記事の情報について
この記事は、相続が発生した場合について考えるための一般的な情報を整理したものです。個別の法律・税務・金融・社会保険・不動産取引等について判断・保証するものではありません。
実際の法的手続きや個別の状況における判断にあたっては、必ずご自身の責任でご判断いただくようお願いいたします。
制度や手続き、サービスの内容は変更される場合があります。具体的な手続きや利用条件については、各公的機関・専門機関等の最新情報をご確認ください。

