

親が倒れた。介護が始まった。
いざ自分が当事者になった場合、「結局、何から考えればいいの?」と迷うことはありませんか?
このページでは、そのような問題に直面したときに知っておきたい情報を、単なる制度や知識の解説ではなく、「考えること → 選ぶこと → 比べること → 次にやること」の順番で整理します。
最初からすべてを調べる必要はありません。まずは、自分が今どこを確認すべきなのか「現在地」を見つけてください。
この記事で分かること
- 最初に考えるべきこと
- 見落としやすいポイント
- 考えられる主な選択肢
- 選択肢を比較するときの判断基準
- お金・仕事・住まい・支援の4つの視点
- 典型的なケースごとの考え方
- 確認しておきたい制度・手続き
- 最初にやること
- 具体的なHOW TO
- 専門家・相談先を利用したほうがよいケース
「親が倒れた。介護が始まった。」まずどう考える?
親が倒れたり介護が必要になったりしたとき、いきなり「自分が介護するのか」「施設に入れるのか」という結論を出す必要はありません。
先に確認したいのは、「親の今の状態はどうなっていて、何を知っておく必要があるのか」ということです。
介護の問題は、親の身体状況だけでなく、仕事、介護費用、住まい、家族関係、財産管理などが同時に動き始めることがあります。
そこで、このページでは次の順番で整理します。
- 状況
- 考えること
- 選択肢
- 判断材料
- 次に読む
- HOW TO
まず考えること10項目
「親が倒れた。介護が始まった。」といった問題に直面したとき、最初に確認したいポイントを10項目に整理します。
1.親の現在の状態
まず確認したいのは、親が今どのような状態にあるのかということです。
突然倒れた場合は、病気やケガによる一時的な状態なのか、今後も介護が必要になる可能性があるのかで、その後の対応が変わります。
確認したいこと:入院しているのか、自宅に戻れる見込みがあるのか、医師からどのような説明を受けているのか
2.介護が必要な範囲
「介護が必要」といっても、必要な支援の内容は人によって大きく異なります。
食事、入浴、排せつ、移動、服薬、買い物など、「何ができるのか?」「何に支援が必要なのか?」を整理すると、必要なサービスも見えやすくなります。
確認したいこと:日常生活のどの部分に介助が必要なのか、見守りが必要なのか、医療的な対応があるのか
3.誰が介護するか
介護が始まると、「近くに住んでいる子どもがやる」「長男がやる」など、いつの間にか役割が決まってしまうことがあります。
家族の誰か一人に負担を集中させないことも重要です。
確認したいこと:誰が何を担当できるのか、遠方の家族にもできることはないか、介護サービスをどこまで利用するか
4.仕事への影響
介護を理由に仕事を辞める前に、仕事と介護を両立できる方法がないか確認することが大切です。
介護休業制度は、単に介護をするためだけでなく、介護サービスの手配など仕事と介護を両立する体制を整えるための期間として活用できます。厚生労働省のホームページで、制度を活用できるか確認しましょう。
確認したいこと:介護休業・介護休暇などの制度、勤務時間の変更、会社の相談窓口、退職以外の選択肢
5.介護費用
介護には、介護サービス費だけでなく、医療費、食費、交通費、住宅改修費、紙おむつなどさまざまな費用が発生する可能性があります。
介護保険サービスの利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある場合は2割または3割となります。施設を利用する場合は、居住費や食費なども確認が必要です。
確認したいこと:親の収入、預貯金、介護サービス費、医療費、住居費、家族が負担する可能性のある費用
6.親の住まい
親が一人暮らしをしていた場合、これまでの住まいで生活を続けられるのかを考える必要があります。
在宅介護だけでなく、家族との同居、介護施設への入居、住み替えなど、複数の選択肢があります。
確認したいこと:現在の住まいで生活を続けられるか、住宅の安全性、家族が通える距離か、住み替えが必要か
7.公的介護サービス
家族だけで介護を抱え込む必要はありません。
地域包括支援センターでは、高齢者の総合相談や介護・福祉に関する支援を行っております。
また、介護保険を利用するには、各自治体で要介護認定など所定の手続きが必要になりますので、前もって確認しておきましょう。
確認したいこと:要介護認定の状況、地域包括支援センター、ケアマネジャー、利用できる介護サービス
8.親の財産管理が必要なケース
親の判断能力が低下すると、預貯金の管理、介護費用の支払い、不動産の管理などが難しくなることがあります。
親の財産だからといって、家族が自由に管理・処分できるとは限りません。状況によっては成年後見制度などの検討が必要になる場合があります。成年後見制度には、判断能力の程度に応じて「後見・保佐・補助」の制度があります。
家族で相談のうえ、必要であれば相談窓口、専門家に相談しましょう。成年後見制度については厚生労働省のホームページをご参考ください。
確認したいこと:親本人が財産を管理できる状態か、預貯金や不動産の管理に問題がないか、専門家への相談が必要か
9.兄弟・家族との役割分担
介護では、「誰が親のところへ行くか」だけでなく、お金、病院への付き添い、手続き、施設探しなど多くの役割が発生します。
家族間で認識がずれていると、後から「自分ばかり負担している」という不満につながりやすくなります。
確認したいこと:介護、費用、通院、手続き、連絡などを誰が担当するのか
10.今後の介護方針
目の前の対応だけでなく、「これからどのような生活を目指すのか」も考えておきたいポイントです。
在宅介護を続けるのか、施設を検討するのか、家族との同居を考えるのか。親本人の希望も含めて、家族で方向性を整理していきます。
確認したいこと:親本人の希望、家族ができること、介護サービスの利用方針、住まい、今後の生活
「お金」「仕事」「住まい」「支援」を4つの視点から考える
介護だけを見て判断すると、思わぬところを見落とすことがあります。
そこで、このサイトでは「お金」「仕事」「住まい」「支援」の4つの視点から整理します。
お金から考える
介護が始まると、親の費用だけでなく、家族側の交通費や仕事への影響など、家計全体に変化が生じることがあります。
- 介護サービスや施設にかかる費用
- 親の年金・預貯金などでどこまで対応できるか
- 家族が負担する費用が発生するか
仕事から考える
介護を理由に仕事を辞める前に、勤務先の制度や介護サービスを組み合わせられないか確認します。
- 介護休業・介護休暇などの制度
- 勤務時間や働き方の変更
- 介護離職を避けるための選択肢
住まいから考える
親が今の住まいで暮らし続けられるかどうかは、介護の方法にも大きく関わります。
- 在宅介護を続けられる住環境か
- 家族との同居が必要か
- 介護施設や住み替えを検討するか
支援から考える
家族だけで抱え込まず、公的な相談窓口や介護サービスに繋げることが重要です。
- 地域包括支援センター
- 要介護認定・介護保険サービス
- ケアマネジャーや介護事業者などへの相談
「親が倒れた。介護が始まった。」考えられる選択肢。
対応策は、ひとつとは限りません。ここでは代表的な選択肢を整理します。
選択肢A:在宅介護を中心にする
親が住み慣れた自宅で生活を続けながら、家族と介護サービスを組み合わせる方法です。
注意点:家族の負担が大きくなりすぎないよう、介護サービスや家族間の役割分担を早めに整理する必要があります。
選択肢B:家族との同居を検討する
親の一人暮らしが難しくなった場合などに、子どもなどの家族と同居する方法です。
注意点:介護だけでなく、住宅、生活費、仕事、家族関係まで変化するため、勢いだけで決めないことが重要です。
選択肢C:介護施設・住まいの変更を検討する
現在の住まいでの生活が難しい場合、介護施設などへの入居を検討します。
注意点:施設によって費用、サービス、入居条件、住環境などが異なるため、複数の選択肢を比較することが大切です。
選択肢を比較するときの5つの判断基準



「どれが正解か」ではなく、何を基準に比べるかを決めると整理しやすくなります。
| 判断基準 | 確認すること |
|---|---|
| お金 | 費用・収入・貯蓄・将来の負担 |
| 時間 | いつまでに決める必要があるか |
| 安定性 | 生活への影響や継続性 |
| リスク | 失敗した場合に何が起きるか |
| 将来 | 数年後の生活にどう影響するか |
選択肢を比較する



比較するときは、「一番良い選択肢」を探すより、「自分にとって避けたいリスクは何か」を先に考えると整理しやすくなります。
| 選択肢 | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 在宅介護 | 親が住み慣れた環境で暮らしやすい | 家族の負担が増える可能性 | 在宅生活を続けられるケース |
| 家族との同居 | 見守りや生活支援をしやすい | 家族全員の生活が変わる | 同居による支援が可能なケース |
| 介護施設 | 家族の介護負担を抑えやすい | 費用や施設選びが必要 | 自宅での生活が難しいケース |
モデルケースで考える
ケース1:突然倒れて入院した親の介護が必要になった
状況:親が突然倒れて入院。退院後の生活について、家族で考える必要が出てきた。
考えること:
- 退院後にどの程度の介護が必要になるのか
- 自宅で生活できる状態なのか
- 介護保険や在宅サービスを利用できるのか
考えられる選択肢: 在宅介護、介護サービスの利用、施設などへの入居
最初に確認したいこと:医療機関からの説明と退院後に必要となる介護・生活支援
ケース2:親が一人暮らしを続けることが難しくなった
状況:親は一人暮らしを続けているものの、買い物や入浴、通院などに不安が出てきた。
考えること:
- 現在の住まいで安全に暮らせるか
- 介護サービスで生活を支えられるか
- 同居や住み替えが必要になる可能性はあるか
考えられる選択肢: 在宅生活の継続、家族との同居、介護施設などへの住み替え
最初に確認したいこと:親が日常生活で困っていることと、利用できる介護サービス
ケース3:親の介護と仕事を両立する必要がある
状況:親の介護が始まり、仕事を続けながら対応できるか不安を感じている。
考えること:
- 自分が直接介護する必要がどこまであるのか
- 介護サービスをどこまで利用できるのか
- 仕事を辞める前に利用できる制度があるのか
考えられる選択肢: 仕事を続けながら介護、勤務方法の調整、介護休業の利用、家族やサービスへの分担
最初に確認したいこと:勤務先の介護関連制度と、親が利用できる介護サービス



ケースは特定の個人を診断・評価するものではありません。あくまで、このテーマを考えるための典型例です。
「親が倒れた。介護が始まった。」確認したい制度・支援。
利用できる制度や支援は、条件や時期によって異なります。
| 制度・支援 | どんなものか | 確認先 |
|---|---|---|
| 総合相談 | 高齢者の介護・福祉・生活などについて相談できる地域の窓口 | 地域包括支援センター、各自治体等 |
| 介護保険・要介護認定 | 要介護度などに応じて介護サービスを利用するための制度 | 各自治体等 |
| 介護休業・介護休暇 | 仕事と家族介護を両立するための制度 | 勤務先・厚生労働省 |



制度は変更されることがあります。利用を検討するときは、必ず最新の公的情報を確認してください。
「親が倒れた。介護が始まった。」最初にやること。
情報を一度に集めすぎると、かえって何をすればよいのか分からなくなります。
まずは次の5つから始めてください。
- 親の現在の状態と今後の見通しを確認する
- 日常生活で何に介助が必要なのか整理する
- 地域包括支援センターなどに相談する
- 家族で介護の役割分担を話し合う
- 仕事・住まい・介護費用への影響を確認する
最初の一歩は、親の現在の状態と今後の生活について確認することです。
HOW TO|具体的な方法・手続き
ここからは、実際に具体的な方法について解説します。
医療機関などから、現在の状態や今後の見通しについて説明を受けます。
「介護が必要か」だけでなく、食事、移動、入浴、排せつ、服薬、認知機能など、日常生活のどこに支援が必要なのかを整理します。
介護が必要になった場合は、地域包括支援センターなどに相談します。
地域包括支援センターは、高齢者の総合相談や権利擁護、介護予防などを担う地域の相談窓口です。
介護サービスの利用を検討する場合は、要介護認定など必要な手続きを確認します。
要介護認定は、介護の必要度を判定するための制度です。具体的な申請方法や必要書類は、市区町村の窓口などで確認してください。
仕事を辞める前に、勤務先の介護休業、介護休暇、勤務時間の調整など、利用できる制度を確認します。
もし利用できるのであれば介護そのものだけでなく、介護サービスの手配や仕事と介護を両立する体制づくりについても取り組むことができます。
親本人の希望を確認しながら、在宅介護、介護サービス、同居、施設などの選択肢を比較します。
ここで重要なのは、最初から何年先まで決め切ることではありません。現在の状態に合わせて方針を決め、状態が変わったら見直せるようにしておくことです。
専門家・公的窓口への相談
複数の問題に同時に直面していたり、内容によっては専門家や公的窓口に相談すべきケースも発生します。
ここでは一般的な相談先、公的窓口について記載します。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 介護サービス・要介護認定・介護生活 | 地域包括支援センター、各自治体等 |
| 仕事と介護の両立 | 勤務先等 |
| 財産管理・成年後見制度 | 弁護士、裁判所(後見ポータルサイト)等 |
まとめ|「親が倒れた。介護が始まった。」まず考えること。
最初から答えを決める必要はありません。
まずは、
- 考えることを整理する
- 選択肢を知る
- 判断基準を決める
- 必要な情報を調べる
- 次にやることを決める
この順番で進めると、複雑に見える問題も少しずつ整理できます。
「誰が全部やるか」ではなく、「どうすれば家族だけで抱え込まずに続けられるか」
まずは親の状態と家庭の状況を整理し、使える支援を確認する。そのうえで、家族にとって無理のない介護の形を考えていくことが重要です。
迷ったときは、すべてを一度に解決しようとせず、「今、一番先に確認することは何か」から考えてみてください。
この記事の情報について
この記事は、「親が倒れた。介護が始まった。」といったケースを考えるための一般的な情報を整理したものです。個別の法律・税務・金融・社会保険・不動産取引等について判断・保証するものではありません。
実際の法的手続きや個別の状況における判断にあたっては、必ずご自身の責任でご判断いただくようお願いいたします。
制度や手続き、サービスの内容は変更される場合があります。具体的な手続きや利用条件については、各公的機関・専門機関等の最新情報をご確認ください。

